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2026.09.10

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セミナーレポート公開のお知らせ【採用ブランディング変革──新卒・転職市場で選ばれる企業へ、「伝わる」人的資本経営の実践】

TYOは2026年7月23日、ブランドジャーナリズムとの共催セミナー第三弾「採用ブランディング変革──新卒・転職市場で選ばれる企業へ、『伝わる』人的資本経営の実践」を開催しました。

採用サイトも公式SNSも社員インタビュー動画も用意した。それでも「候補者に伝わらない」「エントリーにつながらない」「内定を出しても辞退される」──。少子化と労働人口の減少が進み、採用市場の主導権が企業から候補者へと移るなかで、多くの企業が同じような壁に突き当たっています。

本セミナーでは、プロティアン・キャリア論の第一人者である法政大学キャリアデザイン学部の田中研之輔教授をゲストにお迎えし、採用にまつわる「伝わらない問題」の正体を、学術と実務の両面から掘り下げました。本記事では、そのエッセンスを抜粋してお伝えします。詳細なセミナーレポートやセミナーの視聴については、下記に公開いたしましたのでぜひご覧ください。

・セミナーレポートはこちら

・セミナー動画の視聴はこちら

登壇者:右からTYO事業開発本部・小川祐紀、法政大学・田中研之輔教授、ブランドジャーナリズム代表・林亜季氏

認知と共感のあいだに横たわるギャップ

冒頭、TYO事業開発本部の小川祐紀が示したのは、企業と採用候補者のあいだにあるギャップの構造でした。

候補者は「どんな未来を目指している会社なのか」を知り、ビジョンや価値観から自分との相性を判断したいと考えています。ところが企業側は、その伝え方がわからない、あるいは伝えているつもりで伝わっていない。多くの企業に共通して起きている問題です。

企業を知った瞬間に入社を決意する人はいません。採用のプロセスは、認知から理解、共感、そして納得・共鳴へと深度を増していきます。候補者は企業発信の情報だけでなく、口コミや先輩社員の言葉に触れながら核心に迫り、集団の場と個別の対話というリアルな接点を経て、最終的な行動へと至ります。映像による表現は、そのどの接点にも効果的に機能する──小川はそう整理しました。

「映像」と「動画」は違う──3つのタイプの使い分け

多くの企業が混同しがちなのが、映像・動画コンテンツの「種類」です。セミナーでは、目的に応じた3タイプの整理が示されました。

企業VP(会社紹介動画)は、3〜5分程度の尺で、歴史・規模・事業領域といった事実情報を体系立てて提示するもの。ナレーションやインタビューを中心に、リアリティを重視した設計で理解を促します。

ブランドムービーは、15〜30秒程度の短尺動画で、世界観を直感的に伝えるもの。要素を絞り込み、ビジュアルインパクトや音声・音楽などで印象を残すことを優先します。

そしてステートメントムービーは、企業の現状や社会課題を踏まえた未来への意思表明を映像化したものです。尺はおよそ1分強から4〜5分程度。他のタイプとの決定的な違いは、「映像内で未来ビジョンの具体としてのコミットメントやアクションの提示が必要で、『エモーショナル』と『ロジカル』の両側面が共存する形が求められる」(小川)という点です。

左脳と右脳、両面から設計する

TYOが映像設計のベースに置いているのが、意思形成プロセスを左脳(論理)と右脳(感情)に分けたフレームワークです。候補者の意思決定は、数値やファクトによる理解・納得だけでは完結しません。覚悟や本気度が感じ取れる企業ビジョンへの共感・共鳴が不可欠であり、その両方を見渡してバランスを取ることが、ステートメントムービー制作の要になります。

このフレームに当てはめると、ブランドムービーが最も貢献するのは認知直後の「初期好感」、企業VPは理解の促進。そしてステートメントムービーが埋めるのは、多くの企業がステークホルダーから得られていない「共感」という情緒的な領域です。どれか一本ですべてが完結するわけではなく、羅針盤となる一本の映像があることで、他の施策とのシナジーが生まれやすくなる。小川はそう語りました。

事例が示す、「伝わる」映像の条件

セミナーでは、TYOが手がけた3本の映像が紹介されました。

日本リーテック株式会社のブランドムービー「つい、見てしまう」篇は、採用を最も強く意識して制作され、2026年7月に公開されたばかりの映像です。「卓越した技術と誠実な施工でインフラを支え、安全・安心な社会と豊かな暮らしを未来につなぐ」というグループパーパスと、インフラを支える社員の誇りを、日常の風景のなかに描き出しています。

株式会社荏原製作所の企業VPは、産業機械メーカーとしての100年にわたる技術の蓄積を、事実情報を軸に段階的に提示するもの。企業の認知・ブランド価値の向上と、採用活動における企業理解の促進を意図した一本です。

プロサッカークラブ・いわきFCのステートメントムービーは、設立10年の節目にクラブの歩みを「中間報告」として描いた作品。地元いわき市・福島県のサッカーファンと地域社会全体をターゲットに、震災から生まれたクラブの存在意義と次の10年への意志を伝えています。

採用は「選び、選ばれる」関係に──昭和・平成型から令和型へ

基調講演で、田中研之輔教授はまず、採用そのものの構造の変化を指摘しました。

企業側が候補者を選ぶ昭和型・平成型の採用から、企業と候補者が相互の関係性のなかで一緒に物語をつくり、共感と経験を共有しながら未来を描いていく令和型へ──。「採用を変えていこう」という志向そのものが、結果的に「伝わる」ことにつながっていく、という変化です。

従来の企業PR動画を見れば、その違いは明確だと田中教授。右肩上がりの成長、挑戦できる環境、整った制度……。いずれも企業側の主語で語られてきました。それがフィットしていた時代もありますが、いま候補者が知りたいのは「何年目でどこまで経験できるのか」「自分らしく働けるのか」「誰と話ができるのか」といった、自分を主語にした問いです。

「我々の会社はこんなにいいんです、ではなく、誰に何を届けていくのかを丁寧に掘り下げること」。田中教授は、これからの採用ブランディングの本質をそう語りました。

「伝わらない」を生む3つのギャップ

田中教授は、企業と候補者のあいだに生じるギャップを3つに整理しました。「主語のギャップ」「抽象と具体のギャップ」そして「完成形と現実のギャップ」です。

ビジョンを掲げると、言葉だけが浮いてしまいやすい。だからこそ、そのビジョンを実現できるとイメージできる具体の取り組みやコミットメント、現場の「手触り感」が必要になります。「なぜこうなるのか」「実際に何が起きているのか」「本当にそうなのか」を丁寧に埋めていく作業において、活字よりも映像のほうが届けられる要素やニュアンスは多い、と田中教授は語りました。

採用ブランディングは「見せ方」ではなく、人的資本経営の本丸

田中教授がセミナーを通じて繰り返したのは、これからの採用ブランディングは「テクニック」や「見せ方」の話ではない、という一点でした。

コンテンツの本数を増やすのではなく、一本一本に戦略的な役割を設計する。ありとあらゆる発信をやるのではなく、向こう3か年でどこにフォーカスして投資するかを判断する。それこそが戦略であり、人的資本経営における採用への投資判断そのものだという指摘です。

また、採用担当者に業務が集中する労働集約的な構造への処方箋としても、映像は機能するといいます。ステートメントムービーという「箱」が一つあれば、担当者が動けない場面でも企業の意志は伝わり続ける。増幅装置として働くことで、属人的な採用活動から抜け出すための道が開ける、という考え方です。

「伝わる」の条件として田中教授が挙げたのは、実態・具体・一貫性・感情の4つ。問いを立て、社内のリアルや実践を具体的に作品にしていくことが出発点になります。

明日から始める第一歩

トークセッションでは、視聴者からの質問を交えながら実践論が交わされました。

採用に強いSNSはどれかという質問に対し、田中教授は、若年層が活用する主要チャネルは3〜5年で入れ替わると指摘。かつてはFacebookが主な学生の連絡手段だったが、いまはInstagramのストーリーやリールが中心になっているとし、チャネルは追い続ける必要がある一方で、鍵になるのは「思いを込めたコンテンツ」だと語りました。

先輩社員の一日やインタビューは簡易な動画で十分に機能する。しかし、企業のミッションやビジョン、不確実な時代にどうあろうとしているのかというコアメッセージを載せるなら、動画よりも作り込んだ映像がフィットする──小川はそう使い分けを整理します。

生成AIの活用が広がるなかでの設計についても議論が及びました。候補者が企業選びをAIに相談する時代には、AIが読み込みやすいテキストコンテンツと映像コンテンツを併走させることが有効になります。制作の背景や込めた思いをプレスリリースや記事として発信し、映像と結びつける。パンフレットや説明会といった既存の採用コンテンツを置き換えるのではなく、戦略の中にステートメントムービーを埋め込み、前後のジャーニーを作り込んでいくハイブリッド的な発想です。

誰がステートメントムービーの制作を意思決定するのかという問いに対し、その主体について田中教授は「CHROか、採用を管轄する本部長」と回答しました。1000名規模までの企業であれば経営トップが自ら判断しているケースも多いといいます。

「一緒に働きたい」と思ってもらうために

なぜステートメントムービーという領域に踏み込んだのか。小川は、「印象を残す短尺動画と、具体を調べに行った先にある情報とのあいだに、心を動かすコンテンツが決定的に不足していたから」と語ります。TYOが持つハイエンドな映像クリエイティブの力を、従業員・採用候補者・投資家といった身近なステークホルダーに向けて生かす。その発想が出発点でした。

クロージングで田中教授は、ステートメントムービーを「いまいる社員が何度も見直して、自分たちの仕事への誇らしさを再確認できる応援ムービー」と表現しました。採用は勝ち負けでも短期決戦でもなく、次世代への投資であり、出会いを互いに育て合っていくプロセスである──。

「人的資本経営の実践」の観点で採用ブランディングを捉え直す。その転換の起点に、映像という手段があります。


詳細なセミナーレポートやセミナーの視聴については、下記をご覧ください。

・詳細なセミナーレポートはこちら

・セミナー動画の視聴はこちら

・ステートメントムービー サービスサイト https://statementmovie.tyo.co.jp/


■登壇者プロフィール

【ゲスト】田中 研之輔氏
法政大学キャリアデザイン学部 教授/一般社団法人プロティアン・キャリア協会 代表理事

日本におけるプロティアン・キャリア論の第一人者。キャリア論・組織論を専門とし、人材・人的資本経営の言論をリードする。著書多数。企業の組織変革・キャリア自律支援にも携わる。

【登壇者】小川 祐紀
株式会社TYO 事業開発本部 BizDev Chief Executive Business Producer

広告・ブランド領域での営業・コミュニケーション設計の経験を基に、新規事業開発を統括。ステートメントムービーの開発と市場展開を主導。

【登壇者】林 亜季氏
株式会社ブランドジャーナリズム 代表取締役CEO

朝日新聞、ハフポスト日本版、Forbes JAPAN、NewsPicks for Business取締役を経て起業。ジャーナリズム・メディア出身者による「伝わる」メッセージづくりの専門家。

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