縁の下の力持ち。表に立つ仕事ではないけれど、クリエイティブ制作において何よりも重要な役割であるPM(プロダクションマネジャー)。2020年新卒入社で現在PMとして働いている濱野智美に、PMの仕事の魅力や、TYOに入社した経緯などについて話を聞いた。
Profile
濱野 智美 2020年、新卒入社。
制作プロダクション「TYO drive」所属PM。入社1・2年目はアシスタントPMとして映像制作に従事し、2年目の後半からメインPMとして、現在はCMを中心にさまざまな案件を担当している。
「PMは、ざっくり説明すると、さまざまなスタッフと連携して作品を作っていく仕事です。細かな仕事内容としては、全体の予算の管理、各スタッフのスケジュールの調整・管理、スケジュールの進行、撮影した素材やクライアントからいただいたデータの管理、撮影の準備などなど。映像が完成するまでの全工程において、幅広い業務を担います」
映像制作において欠かせない、PMという職業。TYOに入社した多くの社員が最初に通る道であり、その仕事内容は細かく挙げるとキリがないほど多く、大小問わずさまざまなタスクが発生する。
大変な仕事のはずだけれど、取材中ずっと楽しそうに話す濱野が印象的で、彼女にプロダクションマネージャーという仕事の醍醐味を聞いてみた。すると、「常に新しいことに挑戦できるところです」と返事がくる。
「ひとつの案件が終わると、すぐにまったく違うジャンルのお仕事が入ってくるので、それが私にはとても楽しいです。たとえば食品系のCMをやっていたと思ったら、次は住宅建設の案件だったりとか。いろんな業界に触れられることもそうですし、作品によって制作の条件が違うことも楽しいですね」
CM制作はクライアントによって予算などの条件が異なるため、それに付随するPMの仕事も案件ごとに異なってくる。たとえば音楽を自分で探すこともあれば、ロケ地を探し回ることもあれば、衣装を自分で買うことだってあるのだ。
「この仕事をしてなかったら一生やらなかっただろうなっていうことを、次々に経験できますよ」と濱野は言う。
幅広い仕事内容をこなしていくPMという職種において、濱野の考える「必要なスキル」とは何なのだろうか。「コミュニケーション力」「人を思いやる力」「しつこく粘る力」と答えた濱野に、それぞれそのスキルをあげた理由をきいてみた。
まずは、コミュニケーション力について。
「PMは、いろんな人と関わる職業です。カメラマンやスタッフはもちろん、道路許可を取るときには警察署の方と話しますし、キャストの方々とも話します。そのときに、こちら側の言い方ひとつで彼らの制作チームに対する印象が変わり、作品に影響することがある。だから、ひとつひとつのコミュニケーションを大切にする力は必要だと思います」
次に、人を思いやる力について。
「スケジュール管理や進行はPMのメイン業務でもありますが、スケジュール管理とは、“この納期までにこれをやる”といった数字の管理だけではありません。それぞれのスタッフに対して、“このスタッフさんには、この日までに情報を渡さないと、そのあと苦しんじゃうだろうな”というように、相手を思いやって考えることが大切だと思っています。関わるスタッフが無理することのない進行は、思いやる力がないとできないです」
最後は、しつこく粘る力について。
「たとえばロケ地とか、HPに“撮影禁止”と書いてあることも多いんですよ。でも、ダメもとで直接行ったり電話したりして交渉する。スタッフに対してもそうで、一度断られても、“どうしてもあなたしかお願いできる人がいない”と熱量を持ってお願いすると、受けてくれることがあるんです。断られた瞬間は心が折れるんですけど、一歩踏み込んでしつこく交渉してみる。その粘り強さが、いい作品につながると思います」
どれも納得する内容ばかりで、濱野のPMという仕事に対する誠実さがひしひしと伝わってくる。
濱野が所属しているのは「TYO drive」という部署で、さまざまな業種のクライアント案件を偏りなく担当することが特徴だ。濱野は、自ら希望してTYO driveのチームに所属したのだという。
「私が入社したときは、ローテーション制度という研修制度があって、本配属の前にいろんな部署をまわったんです。その時に、TYO driveの雰囲気が特に好きだなと思って。にぎやかな部署で、先輩たちもすごく気さく。わからないことがあると、本当に些細なことでもみなさんやさしく教えてくれるんです。自分が所属するなら絶対にこのチームがいいと思いました」
学生時代は特に映像に関わったことがないという濱野。彼女はとにかく、TYO driveを筆頭にTYOの雰囲気を気に入ったようだった。
「私は、就職活動ではじめて制作会社という存在を知ったくらいなんです。でも、TYOは説明会や面接の雰囲気が素敵だなと思って、第一志望で受けていました。他社の面接と比べて、とにかく話をよく聞いてくれるあたたかい印象が学生のときからありましたね」
TYOにいい印象を持って入ってきた濱野だが、実際に入社してみてどう思っているのだろうか?
「入社前から先輩たちに、“制作の仕事は大変で寝られないこともある”といったネガティブな情報も聞いていました(笑)。実際にいざ中に入ってみると、大変なことはたしかにあるんですけど、それ以上に達成感ややりがいがあって。本当に毎日たのしいです」
映像に関する知識がまったくないからこその良さもある、と濱野は続けた。何も知らないからこそ、制作という仕事のすべてが新鮮に思えて楽しめるのだと言う。
最後に、就活生に向けてのメッセージを聞いた。
「TYOはすごくアットホームでやさしい会社です。映像業界に入ることを目標にしている方もいると思いますが、私みたいに、映像について何も知らないところから飛び込んだ人もいるので、少しでも興味がある方はぜひ挑戦してみてください。私はまだ、一度も会社をやめたいなと思ったことはないです」
就職活動ではじめて映像制作に興味を持ったという方も、ぜひ挑戦してみてはどうだろうか。濱野をはじめとして、やさしい先輩がたくさんいるはずだ。
(取材・執筆 あかしゆか)