PM(プロダクションマネージャー)チームを統率し、マネジメントのほかに自身の案件も担う「チーフPM」。2015年に新卒で入社し、現在「PRO2」にてチーフPMを担当する室岡諒介に、仕事で大切にしていることについて話を聞いた。
Profile
室岡 諒介 2015年、新卒入社。
制作プロダクション「PRO2」のチーフPM。アシスタント、メインPMを経たのち、7年目からチーフPMとして、PMチーム全体のマネジメントを担当している。
PMとしての経験を数年間経たのち、多くのTYO社員が経験するのが「チーフPM」という役割だ。プロデューサーからきた案件をPMに振り分けたり、各メンバーの状況を把握してケアしたり……。さらには自身もPMとして現場もこなすという、マネジメント力と現場力の両方が必要となる職種である。
室岡は入社7年目でチーフPMを任され、現在、約2年の月日が経った。
「チームメンバーを“育てる”ことのおもしろさに、少しずつ気づき始めていますね。案件についてもらって、やばいときには助けるよ、だけじゃ後輩たちは育たないので。とはいえ背中を見て育ってくれって思うタイプなんで、具体的に教えるとかじゃないんですけど(笑)」
室岡が所属する「PRO2」という部署は、大きなクライアントの案件を担当するのが特徴だ。案件のひとつひとつが大きいがゆえに、「後輩たちが大きいプロジェクトをクリアしていくのを見られるのはうれしい」と室岡は言う。
室岡は、チーフPMとして仕事をするにあたって、とにかく「コミュニケーション」を大切にしている。
「後輩たちとは、誰とでも隔たりなく話す方です。気軽に飲みに行ったり、日々何気ない会話をしたり。そうすると、けっこう情報が入ってくるんですよ。社内の人間関係とか、誰がどんなことに悩んでるとか。そういった情報を覚えておいて、シフト(案件の割り振り)に活かしたりしますね」
「仕事だから」ではなく、いろんな人と話すことが心からたのしいという室岡。後輩が思わず腹を割ってしまう彼の性格は、天性のマネージャーとしての素質なのかもしれない。
事実、室岡の明るさは社内でも定評がある。室岡がいるチームの士気はいつも高く、雰囲気がいい。彼のコミュニケーションスキルは、自他共に認める能力なのだ。
チーフPMには、前述したようにマネジメントだけではなくPMとしての現場仕事もある。チーフとしてではなく、「PM」として必要なスキルを室岡に聞くと、「想像力」「素直さ」「推進力」という、3つの答えが返ってきた。
「ディレクターの想像力・発想力とはまた違って、PMの想像力とは、現場の先を読む力のことです。たとえば香盤(撮影スケジュール)を作るときには、実際の現場を一度想像してみる。そうすると、もう少し余裕を持たせた方がいい部分などがわかります。リファレンス(参考資料)を探すときも、“どんな資料があれば、現場のスタッフが共通認識を持てるだろう?”と想像してみる。それだけで、全然結果は違ってきます」
常に相手が求めていることを想像する。それはPMだけでなく、チーフPMにも必要なことだろう。
次に「素直さ」に関しては、どういう面において必要なスキルなのだろうか。
「シンプルに、嘘をつかないことですね。チーフもPMも一緒ですけど、とにかくいろんな人と関わる仕事なので、一度でもこちらの都合で嘘をつくと、一緒に仕事していくチームに綻びが生まれてしまいます。そうなるといいものができないし、楽しくない案件になるので。わからないことはわからない、できないことはできないって言う。素直さは大事だと思いますね」
最後に「推進力」については、所属する「PRO2」チーム独特のスキルかもしれない、と室岡は続けた。
「PRO2」は部署の特徴として大きなクライアントの案件が多く、それがゆえに一つひとつの意思決定に時間が必要とされ、なかなかスケジュールが前に進まないことも多い。だからこそ、とりあえずひとつずつ、地味なことでもいいから前に進める──そんな「推進力」が必要なのだ。
室岡は、実は新卒のときにTYOではなく不動産会社に就職する予定だったという。内定を承諾する直前にTYOから内定をもらい、「こっちの方がおもしろそうだから」と、直感で入社を決めた。
「学生の頃、特に映像に関わったこともなかったし、まったく興味もなかったんですけど。TYOはCM以外にも、当時はアニメとかイベントとかもやっていて、この会社に入ったらいろいろできそうだなと思って決めちゃいましたね」
PMの仕事内容すらわからない状態で入社を決めた室岡。そのため、入社してすぐの頃は、失敗したなと思う瞬間も少なくなかったという。
「PMの仕事の実情をろくに調べてなかったので、激務だし、雑用みたいなこともやらされるし、最初の頃は毎日やめてやろうって思っていました(笑)。でも仕事をやっていくうちに、PMって雑用じゃなくて、映像制作のいろんなことに関われる一番おいしいポジションだということに気づいて。そのスタンスになってからは、楽しくやっていますね」
どこまでもマイペースに、自分の直感的な部分を信じて行動しているように見える室岡。最後に、TYOへのエントリーを考えている学生へのメッセージを聞いた。
「自分が担当した案件を、テレビではじめて見たときはすっごい感動しました。みなさんにもぜひその感動を味わってもらいたいです。TYOは大きい案件ができるので、やりがいがあります。本気の遊びっていう感覚があって、働いたら楽しいと思いますよ」
映像制作に少しでも興味がある人は飛び込んでみてほしい。室岡のような先輩がいれば、仕事が楽しくなること間違いなしだ。
(取材・執筆 あかしゆか)