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2022.12.26

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自分の映像が、最初はわからなかった。ディレクターは、「経験」が何より糧になる仕事です

演出を考え、具体的に映像に落とし込んでいく「ディレクター」という職業。2013年に入社した金野恵利香に、ディレクターの仕事の醍醐味や必要なスキルなど、仕事についての想いを聞いた。

Profile
金野 恵利香 2013年、新卒入社。
東京藝術大学美術学部先端芸術表現学科卒業。現在「WHOAREYOU」にて、ディレクターとして活躍中。「映像でしか切り取れない表現を作ること」を信条として世界観ある作品づくりに取り組み、これまで多数の賞も受賞している。

ディレクターは「演出を考え、具体的に映像に落とし込む仕事」

まるでおとぎ話の中に入ったかのような、息を飲むほど美しい世界観。見た瞬間、画面から目が離せなくなる──。そんな印象的なCMを多く手がけているのは、2013年新卒入社のWHOAREYOUのディレクター・金野恵利香だ。

金野の仕事内容は、主にCMの演出を作り上げること。広告会社(代理店)から受け取った企画をどう表現するか考え、具体的な映像に落とし込んでいく。

仕事の流れは、時と場合にもよるが、多くは広告会社のクリエイティブチームが考えた企画を受け取るところからはじまる。企画者と打ち合わせをしたのちに演出コンテを考え、具体的なスタッフを決めていく。カメラマン、照明部、衣装部、美術部、音楽……。映像制作には、さまざまな人が関わっていて、その都度演出に合ったチームをつくっていくのだ。

チームを組んだあとは、いざ撮影に挑み、そのあとには編集作業が待っている。OKが出たら、オンライン編集と呼ばれる肌のレタッチや合成まわり、MA(音をミックスしていく作業)があって、ようやく一本の作品が完成する。映像制作における数多の工程を担当する、重要な役割を果たすのがディレクターという職業だ。

一番大変だけど好きなのは、演出コンテを考える作業

「周りの人から、“あのCMよかったね”って言われるとやっぱりうれしいです。私は実家が青森なんですけど、テレビCMだと青森にも流れるので、遠く離れた場所にも届いてると思うとうれしくなりますね」

金野にディレクターという仕事の醍醐味を聞くと、こんな答えが返ってきた。また、CMの「伝えたいメッセージが明確なところ」も、金野にとっては魅力のひとつだという。予算やメッセージなど、たくさんの制約がある中でのものづくりは、逆に燃え上がるのだ。

すべてのディレクターの作業の中で一番好きな工程を聞くと、金野は少し考えたあと、「演出コンテを考える時ですね」と答えた。

「一番大変だけれど、その分やりがいがあります。正解はないですけど、自分の中で“この方向でいける!”と合点がいく瞬間があって。そのときはテンションがあがりますね」

仕事をしていく中で、「自分の好きな映像」に気づいた

金野の作品には確固とした世界観があり、彼女は自分の好きなものについてとても理解しているように見えるけれど、入社当時はそんなことはなかったのだという。

「自分はこれでいいのかなって路頭に迷っていました」

そんな金野のターニングポイントになったのが、入社2年目の頃に担当した、『Tire Kimono』という映像だった。プロデューサーから抜擢され、ほぼはじめてメインでディレクターをすることになった案件。右も左もわからない状態で、周りのスタッフたちに助けられながら、納得いく作品に仕上がった。

「ドキュメンタリー映像だったんですけど、すごくきれいに撮れて、結果的に賞もいただけて。美しい映像を撮ることが自分は好きなんだなと思うきっかけになりました」と金野は言う。

そんな彼女に、ディレクターに必要なスキルを聞いてみると、「すべては経験でしかないような気がする」という答えが返ってきた。

「判断力とか、ものを見る力とか、もちろん大切なことはたくさんありますけど、すべて経験をしないと勝手がわからないと思います。演出コンテも、描けば描くほどコツがわかるようになってくるし、各作業の時間のペース配分も、やらなきゃわからない。だから、経験するしかないんじゃないですかね」

とにかく実践して、心と体を使って感じたことでスキルを磨いていく。それが金野のディレクターの哲学だった。

予算に悩まず、思い切り映像が作りたかった

数ある映像制作会社の中で、金野がTYOを就職先に選んだ理由は何だったのだろうか。

「学生時代から映像を作っていたんですけど、自分で作るとなるとやっぱり予算が限られていて、作りたいものが作れない葛藤もあったんです。だからクライアントのいるCMだと映像制作の幅がもっと広がるんじゃないかと思って、CMの制作会社を選びました。その中でもTYOは、子どもの頃に見ていたような有名なCMをたくさんやっていたので、安心感がありましたね」

実際に入社してみて、社内に刺激的な人間がたくさんいることも、TYOの魅力だという。金野はリモートワークで作業することが多いが、「たまに出社して同僚に会えるとやっぱりうれしくなる」と顔を綻ばせた。

最後に、TYOへの就職を希望する学生へのメッセージを聞いてみた。

「CM制作ってもしかしたら堅苦しいイメージがあるかもしれないですが、少しずつ、仕事に自分の好きなことを盛り込めるようになってくると思います。CMを作るの、楽しいですよ」

まだ「自分の映像がわからない」という方も、仕事をしていく中で見つかるものがあるかもしれない。ぜひ、この仕事に一歩足を踏み入れてみてはいかがだろうか。

(取材・執筆 あかしゆか

金野 恵利香の実績ページはこちら

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