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2026.01.16

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TYO drive

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進化が加速するAI、XR──最先端から、映像と広告表現の新境地へ。TYO drive チーフプロデューサー・馬詰正の挑戦

TYO driveのチーフプロデューサー・馬詰正は、ビューティー領域を中心とした豊富な映像制作実績を基盤に、ヘルスケア、生成AI、XRと活動領域を広げてきた。2022年からはAIファッション映像の展示イベント「NFFT」(New Future AI Fashion Technology)のプロデュースに参画し、2024年にはTYO発のXRカルチャーフェスティバル「DO the XR」を立ち上げ、活動の場を広げている。

25年のキャリアで培った基礎と経験を「応用問題」として新領域で生かす──。映像プロデューサー馬詰の挑戦の軌跡に迫った。


馬詰正(うまづめ・ただし) TYO drive チーフプロデューサー。BEAUTY、AI、XR/AR、EVENT、HEALTHCAREを担当。主な受賞歴にNY Festival Advertising Awards /silver(PANTENE #PrideHair)、AMD Award 2023 /優秀賞(PARCO HAPPY HOLIDAYS)、AiXR CREATIVE AWARD 2025 /一次(DO the XR)、Los Angeles Independent Film Festival Award /Best Director(Dr.Bala)など。


23年のキャリアが生んだ挑戦

──プロデューサーとしてのキャリアを教えてください。

1999年頃にこの業界に入りました。最初は別の会社でTYOに転職、プロダクションマネージャーからプロデューサーへ。キャリアは25年以上になります。
長くやっていく中で、これからのキャリアの後半に「応用問題」をやりたいと思うようになりました。普段の広告映像制作でも、キャリアがあることで解決できる問題があると実感しています。その経験を応用して、新しいことに挑戦し続けることができると思っているからです。

コロナ禍で生まれた「クリエイティブラウンジ」

──NFFTに関わるようになったきっかけを教えてください。

ご一緒している、STUDIO D.O.Gを率いる木之村美穂さんとは、もともと映像の仕事や実験的なプロジェクトを手がけていました。2000年代初頭、アナログからデジタルに移行するタイミングでデジタルカメラのテストを一緒にやるなど、広告以外も含めた映像表現の可能性を追求してきました。

2020年、コロナ禍で世界中の撮影現場が止まりました。海外は早い段階で撮影がストップ。私たちは、海外リモート撮影プロジェクト「Remote World」を始めるなど、日本と海外をつないでのオンライン撮影の仕組みをいち早く整えました。当時ロサンゼルスにいた木之村さんはさらにデジタルシフトを進め、Web3やNFTの世界にも関わるようになっていました。

彼女が立ち上げたのが「クリエイティブラウンジ」というオンラインコミュニティです。その頃始まったClubhouseを使って、映像業界の人だけでなく、金融系やテック系、WEB3.0、メタバースを作っている人など、様々な業界のクリエイティブな人たちが集まる場がオンライン上にできた。そこから色々なプロジェクトが始まりました。2021年のことです。
(「クリエイティブラウンジ」は、2021年から4年間継続し、2025年12月で200回を迎え、2026年1月以降「Spotify Podcast」として新しいスタイルで継続される予定。)

2022年に初めて一緒にイベントを開催しました。当時はまだAIではなく、メタバースやNFTが中心でした。WEB3.0上で活動する、NFTアートやウェアラブルファッションアイテムを作っているグローバルで活躍し始めたデジタルクリエーターを木之村さんが独自にキャスティングして、最新作品を発表する新しいスタイルの展示で、恵比寿のAL Galleryで3日間の展示を行いました。

その後、NFTマーケット自体は縮小しましたが、Midjourneyが登場し、AIの波が来ました。『NFFT』-New Future AI Fashion Technology- として、グローバルで活躍するAIクリエイターの活動を紹介する場へとシフトしていきました。

──NFFTは現在どのような状況になっていますか。

NFFTはファッションをテーマにしたAI映像の展示という形式で、グローバルでみても唯一の存在です。参加AIクリエイターは毎回、木之村さんが最新クリエーター達を独自にキャスティングして、選ばれたクリエーターだけが参加できる特別なキュレーション方法で構成されており、グローバルなショーケースとして機能しています。2025年11月、10回目のNFFTを開催し、渋谷のオリジナルイベントでは約1000人が来場。トークイベントやレセプションパーティーも、大いに盛り上がりました。

パルコ「HAPPY HOLIDAYS」──AI広告への挑戦、受賞

──2023年のパルコのキャンペーンについて教えてください。

グラフィック・ムービー・ナレーションまで全て生成AIで制作した、2023年のパルコ・クリスマスキャンペーン「HAPPY HOLIDAYS」も、木之村さんと一緒に手がけました。
目指したのは「AIでなければ創れないデザイン」です。人間のファッションデザイナーやアートディレクターでは考えつかないような、AIによるビジュアルの可能性を追求しました。ムービーはAIで作ったキービジュアルをベースに、その間の世界をまたAIで生成し映像編集的に構成しました。

LA 在住のクリエイティブディレクター・AI Filmmaker 木之村美穂と、世界トップクラスのAI・デジタルクリエイター「Ai-Editorial – Christian Guernelli」(LA在住) のコンビがクリエイティブチームとして、TYO が映像プロダクションとしてチームを組み、初めてのAI 広告を作りました。

本キャンペーンはモデル撮影は行わず、人物も背景もプロンプトから構成。「トップクリエイターを発掘・起用した広告キャンペーンで実績を持つパルコが、最先端の“技術”を次のパートナーに起用した点に大きなチャレンジがある」と評価され、デジタル・コンテンツ・オブ・ジ・イヤー’23/第29回 AMDアワードにおいて、「優秀賞」を受賞しました。

広告×AIの可能性を探る、TYO×STUDIO D.O.Gの提携

──その後の展開について教えてください。

正直、AIの可能性はまだまだ未知数でした。ところが、2024年1月にOpenAIがテキストや画像から高品質な動画を生成するAIモデル「Sora」をリリースしました。パルコのキャンペーンから年が明けたばかりなのに、いよいよ誰もがAIでムービーが生成できる時代が始まる。誰もこんなに早いスピードでAIが進化し、このレベルのムービー生成ができるとは思っていませんでした。振り返れば、当時がターニングポイントでした。

ちょうどSoraがリリースされた頃、TYOとSTUDIO D.O.Gの提携を発表しました。パルコの「HAPPY HOLIDAYS」クリスマスキャンペーンにとどまらず、映像と広告のクリエイティブにおいて、AIの可能性を一緒に探っていこうという前例のないチャレンジを継続するための提携です。

Press Releases: TYO × STUDIO D.O.G ⽣成AI技術を活用した広告ビジネス領域での連携を目的とした業務提携

生成AI技術の活用は、アウトプットのクオリティを向上させ、心を動かす広告作りをするための新たな選択肢になると考え、本契約に至りました。AIデジタルクリエイターの作品展示イベントであるNFFTプロジェクトも、この提携に基づいて共に実施しています。今後も両社でアーティストをバックアップしていきます。

AI時代の肖像権問題へのひとつの解

──「JITSUZAI」プロジェクトについて教えてください。

パルコのキャンペーンなどのプロジェクトを進める中で、AIで人物を生成した場合の肖像権の問題に直面しました。いま、映像制作業界各社にAIチームができていますが、全てAIで広告を作る上では、まだ様々なハードルがあります。特に人物を生成した場合の肖像権の問題は、早くから問題意識として持っていました。
先行して取り組んできた者として、AIのクリエイティブが広告業界の中で健全に発展していくために何ができるか──そこを意識して活動する中で出会ったのが「JITSUZAI」です。

JITSUZAIは、実在の人物を15アングルから撮影してAIモデル化し、権利関係をクリアにした状態で、その人物のAIビジュアルを生成できるサービスです。ソニーが開発し、現在500名以上のモデル、インフルエンサーが登録。多くが日本人で、海外のAIソフトが不得意な「日本人らしい顔立ち」を明確に表現できるのが強みです。

2025年11月に開催したNFFTでは、スターダストプロモーション所属タレントの2名をJITSUZAI化し、TYOのAIクリエイターがビジュアル作品を制作しました。タレント本人は「似ているけど、自分じゃないみたい」と感じるようで、新しい自己認識の拡張体験が生まれる場に立ち会っているような感覚があります。
現在はPoC(実証実験)からPoB(事業化検証)のフェーズに移行しています。権利がクリアなAIアバターサービスは、世界的に見てもJITSUZAIならではの特長です。

XRへの挑戦──TOKYO NODEとの出会い

──XRにも取り組んでいますが、その経緯を教えてください。

2023年、虎ノ門ヒルズに「TOKYO NODE」というXRの拠点ができました。XRを都市の中に実装しようというプロジェクトです。
TOKYO NODEでXRハッカソンイベントがあることを聞いて、クリエイティブラウンジで知り合ったゲームのエンジニアと一緒に参加することを決め、森ビルの中でXR体験ができるアプリを提案しました。ヒルズ内のパブリックアートをXRで体験型にして、店舗案内につなげていくような内容です。XRの空間をメディアとして捉える視点に、広告との親和性を感じるきっかけとなりました。

そのTOKYO NODEで知り合ったクリエイター・今谷真太郎さんとは「Spatial Comic」を制作しました。空間のなかに漫画を配置して、自分でスクロールしたり移動したりしながら読む新しい形の漫画体験です。これにTYOとして実写のXRを組み合わせて、手元で漫画を読みながら後ろを向くとXRの劇が始まっているようなコンテンツを作りました。公募展形式のアートフェスティバル「SICF25(第25回スパイラル・インディペンデント・クリエイターズ・フェスティバル)」で審査員賞、XR CREATIVE AWARD 2024でファイナリストに選ばれました。

渋谷のアート&テクノロジーイベント参加、大阪・関西万博にも出演「DO the XR」

──DO the XRはどのように生まれたのですか。

渋谷でアートとテックを掛け合わせ、最新カルチャーを体験できる回遊型のアート&テクノロジーイベント「DIG SHIBUYA 2025」にTYOとしてエントリーしました。新たに開発したのが「DO the XR」です。
東京QQQ、舞踏石井組、源光士郎さん、Sh0hさん、VTuberの銀河アリスさんの5組をキャスティング。パフォーマーたちはその場にいないけれど、XRとしてパフォーマンスを体験できるようにしました。4日間で延べ800人ほどが来場しました。

──大阪・関西万博にも出展されていますね。

ポップアップステージの公募選考にエントリーし、西と東の入り口にあるステージでゴールデンウィーク期間中に、「DIG SHIBUYA」のようなXRパフォーマンスとライブパフォーマンスの2つを体験できる場を作りました。万博のような大きなスケールのイベントに参加出来たことは、今後のXRのプロジェクトを進める上で、チームにとってとても大きな財産になっています。

広告は、これからもっと形を変えた体験になっていく可能性が高いと思います。今までもデジタルの力で多様化してきましたが、これからのスピードはもっと速くなる。XRやAIを使った新たに拡張したメディアの中に、広告は必ず入ってくる。それがどういう形になるのか、どういう体験になるのかを試行錯誤しながら探していきたいと考えています。

インタビュー(後編) はこちら:
「知らないことを知りたい」「人と違うことを追求」「常にスタートラインに立つ」。TYO drive チーフプロデューサー・馬詰正、その哲学

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