ハイエンド映像を武器に、企業のミッション・ビジョンを、共感を呼ぶ“経営資産”へと昇華させる。日本の地域の魅力を、世界に向けてエモーショナルな映像で発信中──。
多領域にわたる経験が、TYOでの事業開発に結実。ハイエンド映像活用の未来図を描く。
TYOのBizDev部を率い、「ステートメントムービー」と「Another Side of Japan」の2事業を推進する小川祐紀が、その舞台裏と展望を語る。
Yuuki Ogawa
小川 祐紀
事業開発本部 BizDev部 部長
Business Producer
人材業界で中途採用支援サービスの営業と経営・人事コンサルを担当。SNSマーケティング支援会社へ転じ、営業部責任者としてインフルエンサープロモーションや動画広告を軸に売上を伸長、成長事業の子会社化を主導。
2018年、デジタルガレージに入社。新規事業としてクロスボーダーマーケティング部門を立ち上げ、化粧品・リテールなど国内外ブランドを東アジア向けにフルファネルで支援。また自社動画メディアをサービス化。その後、大手企業と中国IT企業によるジョイントベンチャー設立プロジェクトも推進。
2023年1月にTYOへ。共創プロデュースチーム「Third」で事業開発とマーケティングを担い、経営コミュニケーション映像「ステートメントムービー」と地域発信映像シリーズ「Another Side of Japan」などの事業開発に取り組んでいる。戦略立案からマーケティング、市場開発まで一貫して担う。
──TYOに参画した経緯を教えてください。
私自身は人事・採用、マーケティング・ブランディング領域におけるコンサルセールス、新規事業・会社立ち上げといったバックグラウンドから、経営や企業課題についての経験や知見を蓄えてきました。
かつてデジタルマーケティングを中心とした広告施策を数多く手がけていました。顧客の事業支援に繋がる実感を持ちながらも、SNS上にあふれる動画やコンテンツを、「1ヶ月後、半年後、1年後に思い出せるか」と考えたとき、長く残るものは少ないなと感じ始めていたんです。
そんな時、TYOから「広告領域に限らず、新しい事業開発を担うビジネスプロデューサーを探している」という話をもらいました。
TYOの取締役/事業開発本部 Third Senior Executive Producerの岸本高由と話してみて、「ハイクオリティな映像でこれからの企業経営にアプローチしたい」という「ステートメントムービー」を事業化する構想に強く共感しました。そしてTYOが制作した映像を見て、デジタルマーケティング支援の時には手掛けなかったような美しく、細部まで作り込まれたクオリティに感動したんです。「完成度の高い映像は、まったく違う」。まさに心を動かされた瞬間でした。
消費されるコンテンツではなく、何度も繰り返し見たくなるような、年月を超えて心に残る、価値あるコンテンツを生み出したい──そう思ったのが、TYOに入社した大きなきっかけです。
経営・人事コンサルの経験も生かし、TYOが持つハイエンド映像の力を生かし、広告以外の領域で企業課題や社会課題に踏み込む映像を形にすること、また新規領域で0から1を生み出すことが自分のミッションです。それこそが私がTYOにジョインした意味でもあるし、今の仕事のやりがいでもあるんです。
──TYOに入ってからの動きを教えてください。
入社した2023年1月に自分の中で最初に掲げた目標は「入社後1か月で会社の現在地を把握し、3か月で新たな事業の原案を描く」ことでした。
具体的には、岸本率いる共創プロデュースチーム「Third」に所属し、Thirdを中心に、プロデューサーや制作部員へのヒアリングを実施。TYOの強み・弱み、現状や伸びしろなどのポイントを洗い出し、ビジネス戦略に落とし込むため体系的に整理しました。
週1回の岸本とのミーティングでは、方針にズレがないかをチェック。背中を押してもらいながら、スピード感を持って戦略と事業計画を描いていきました。ベースとなる資料は最終的に100枚以上のスライドに。
3か月後には「ステートメントムービー」と「Another Side of Japan」の事業の原案をまとめてプレゼン。事業方針への合意形成ができました。
──「ステートメントムービー」はどんな事業で、どのように誕生したのですか。
TYOの新境地として、「企業のミッションやビジョンを圧倒的な熱量で語り心を震わせる映像であるステートメントムービーを、新たに新規事業として説得力のある形に再定義したい」と岸本に伝えました。「TYOの強みやノウハウと、小川のマーケ・経営視点を掛け合わせられる可能性がある」と前向きな反応がありました。
それまでにも採用や人事、経営課題に向き合った映像はTYOとして手がけてきていました。そういった映像も含めて、あらためて「ステートメントムービー」という看板を掲げることになりました。
従業員やその家族、株主、投資家、採用候補者……多様なステークホルダーの共感と共鳴を生む、これからの時代の新たな経営コミュニケーション。企業課題や社会課題を踏まえ、未来へのビジョンを具体的かつエモーショナルに描き、共感と共鳴を生む映像──。
ステートメントムービーを定義したことにより、クライアントやパートナーとの会話を共通言語化でき、潜在的なニーズを顕在化させることができ始めていると考えています。
──ステートメントムービーの意義や価値をどのように捉えていますか。
採用難や離職率の上昇、低下する会社へのロイヤリティやエンゲージメント、複雑化する投資家へのコミュニケーションといった経営課題に対し、ステートメントムービーは企業の存在意義やビジョンをエモーショナルなストーリーで伝え、その世界観を補強する点に価値があります。
2時間映画級とは言わないまでも、それに迫る凝縮した数分間の感動とともに会社のビジョンやミッションを世界や社会に共有することができる。映像を見た幅広いステークホルダーの長期的な記憶として焼き付くことで、経営に確かなインパクトを生む。それがステートメントムービーの本質だと考えています。
これはステートメントムービーに限らず言えることですが、お客様にご説明しているTYOの映像制作の4本柱をご紹介します。
この4要素をセットで提供できる会社は実は少ないのではないかと思います。お客様にもこの一気通貫性を独自性ある魅力として捉えていただけるケースが多いですね。お客様と私たちで上流の設計を重ね、その他の施策も組み合わせて「映像を起点に経営を動かす」 ところまで伴走できる点も、私たちの大きな価値だと捉えています。
──クライアントの反応はいかがですか。
問い合わせ件数は増えてきています。特に経営企画やIR・人事・広報といった、広告やマーケ部門以外からのご相談が増えていますね。
象徴的なのが、昨年ご連絡いただいた上場企業の事例です。最初は決算説明会で流す映像として「コーポレートムービーを作りたい」というご依頼でしたが、初回面談でステートメントムービーの定義・意義などについて丁寧にご説明したところ、「まさに、私たちの会社で作りたかったのは『ステートメントムービー』です」とおっしゃっていただき、並行で進んでいた他社比較を止めてTYOに一本化してくださいました。「ステートメントムービー」がお客様社内での共通言語になったそうです。こうした反応は他の案件でも続いており、「映像は経営に響く」という確信がより強まっています。
また2024年5月にはTYOとして、上場企業の情報開示支援のリーディングカンパニーである宝印刷株式会社と、ステートメントムービーを基軸とする映像/動画ソリューション領域での連携を目的とした業務提携契約を締結しました。ターゲットの心を動かすハイクオリティなコンテンツ制作のリーディングカンパニーであるTYOの強みと、上場企業のステークホルダーへのコミュニケーションを支援する宝印刷の強みを掛け合わせた業務提携です。
昨年は複数の企業からステートメントムービーを受注。予算に合わせた形で幅広い表現・手法で制作し、納品済みのクライアントからはご満足の声をいただいています。こういった領域を得意とするプロデューサーの存在も心強く感じています。
──「Another Side of Japan」(ASJ)はどんなサービスで、どのように誕生したのですか。
「高品質な映像」と「デジタル発信」を組み合わせ、地方を中心とした知られざる日本の魅力を世界に発信するTYOオリジナルのコンテンツシリーズです。高い映像技術と独自の視点で、インバウンド観光を通じて地方創生に貢献したいという思いで立ち上げた、TYOの新規事業です。
過去に、旅をテーマにしたインバウンド向けの企画を事業化した経験があり、「地域の魅力をハイエンドな映像で世界へ発信する」モデルを深掘りしたいと思っていました。
TYO入社前から構想があり、TYOの強みを生かせば全く新たな次元の事業にできるだろうと感じていました。 “地方創生はこれまでも取り組んできたが、より注力したい”という当時の部署の価値観も確認でき、入社3週目には市場性のヒアリングを始め、ASJのビジネスモデルを組み立てていきました。
経営陣の事業化承認を経て、先行してプロデューサーや制作スタッフ陣が地域に撮影に赴き映像制作を開始。2024年9月にプレスリリースを出し、YouTubeやTikTokなどの動画プラットフォーム・InstagramなどのSNSにてASJのアカウントを開設し、本格始動しました。
──ASJの反響を教えてください。
リリース後に出展した「ツーリズムEXPO」では、自治体や観光地域づくり法人、関連企業の方々から「ご一緒したい」「ぜひうちの地域も取り上げてほしい」とお引き合いをいただきました。
開設から半年、TYOのプロフェッショナルチームが、北陸や東北などの地域の知られざる景色や伝統工芸、食などの魅力を表現した映像コンテンツはYouTubeだとショート動画も含めて94本、Instagramは投稿・リール合わせて83本配信しています。各SNSに設置したASJの公式アカウントの総フォロワーは約3万人、配信先の国・地域は40以上にまたがります。まだまだ途上ですが、今後もコンテンツやサービスを磨き込んでいきます。
社内横断のチーム編成で「地域創生 × ハイエンド映像」という方程式が社内外に浸透しつつあり、立ち上がりとしては順調だと感じています。直近は鉄道系の企業とタッグを組んだプロジェクトなどが進行中です。
──今後のビジョンを教えてください。
2025年1月から新たにBizDev部を立ち上げました。まずはステートメントムービーとASJをしっかり形にして伸ばし、市場からの評価を経て、社内外で確固たるポジションを築くことが第一歩です。
抽象度の高い話になりますが、ステートメントムービーでもASJでも、あるいは今後手がける他の事業においても、映像が持つ力を心から信じ、見る人の生活や価値観に長く寄り添う作品を生み出し、届け続けたい──これが私の根源的なビジョンです。
ASJの映像で例えると、日本の地域のある風景を「憧れの場所」として心に刻む人が増えること自体に価値があると思うんです。
誘客や売上といった指標を追いかけながらもそれを超越し、人の記憶に残るかどうかを最上位に置いておきたい。ステートメントムービーも含めて、「忘れられないワンシーン」を一人でも多くの方に届けることが、仕事で最も大事なことだと思っています。
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