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2024.04.26

Case

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受賞・メディア掲載多数。TYOが手がける、立命館大学の研究機関「ESEC」「RARA」のブランディング・PR、ステートメントムービー制作など対外発信支援の全貌

TYO内の共創プロデュースチーム「Third」では、立命館大学の新たな挑戦として生まれた2つの研究機関のブランディングや、その価値や意義を伝え共感を演出する「ステートメントムービー」の企画制作など、PR・対外発信を幅広く、長期的に支援している。

立命館大学の先導的・先進的研究拠点の形成に向けてリーダーシップを発揮していく中核研究者の集まりである「立命館先進研究アカデミー(RARA:Ritsumeikan Advanced Research Academy)」と、月や惑星における人類の生存圏拡張と、探査拠点となる宇宙開発・インフラ構築に取り組む日本初の研究組織、「立命館大学宇宙地球探査研究センター(ESEC:Earth & Space Exploration Center)」の2つだ。

1900年に京都で創立、長い歴史を誇る立命館大学で、全国から高い目的意識を持った研究者や学生たちが集い、先端領域を切り拓く。Thirdでは2組織の立ち上げから、対外的なあらゆる発信に携わり、これまでの大学内の研究組織のイメージを覆すブランディングと広報・PR、関連施策を一気通貫で手がけている。

「RARA」ウェブサイトは世界的なウェブデザイン・開発アワードの「CSS DESIGN AWARD」の「Website of the Year 2022 Award Nominees」に選出、「ESEC」設立記者会見には多数の報道陣が詰めかけ、両組織のシンポジウムやイベントに学外からも注目が集まった。

TYOで共創プロデュースチームThirdを率いる、取締役 Senior Executive Producerの岸本高由が、長期にわたるThirdによる立命館大学の対外発信支援を振り返る。クライアントの立命館大学広報課 岡本詠里子氏にも話を聞いた。


──ご依頼のきっかけを教えてください。

2021年夏ごろにTYOのコーポレートサイトにご連絡をいただきました。「動画を使った、英語版のウェブサイトを作りたい」というご依頼でした。お話を伺っているうちに、立命館大学が「RARA」という先進研究アカデミーを立ち上げるということで、これから対外的に発信していきたいので、相談に乗ってもらえるパートナーを探していることがわかりました。

本質的な対外発信のためには何をどういうふうに伝えて、何を作ってアウトプットしていけばいいのかというところから相談できるパートナーを模索しているということでした。私たちからは、「動画ありきではなく、どのようなアウトプットにするかというところから一緒に考えて進めましょう」とお話ししました。

当初は英語版のウェブサイトや動画のアウトプットをイメージされておられましたが、お話をしていく中で、まずはどんな研究機関であるかをしっかり日本語で言語化してイメージを固めませんか、というご提案をし、ご発注をいただきました。

まずは対外的なお披露目のために「RARA」のブランディングとロゴ制作、お話を伺いながら、ウェブサイトを制作しましょうと提案し、必要な要素を揃えながら進めていきました。

「RARA」ウェブサイトが世界トップ21のウェブデザインにランクイン

パートナー企業とともに手がけたウェブサイトは「RARA」の世界観を体現した独創的なデザインが評価され、世界的なウェブデザイン・開発アワードの「CSS DESIGN AWARD」の「Website of the Year 2022 Award Nominees」に選出されました。

世界で活躍する、ウェブデザイナーやクリエイティブディレクターら審査員が、UIデザイン、UXデザイン、イノベーションの3つの指標から採点し、世界トップ21のデザインにランクイン。良い形でアウトプットができたと喜んでいただけました。

「CSS DESIGN AWARD」の「Website of the Year 2022 Award Nominees」に選出されたRARAウェブサイト

2021年にお問い合わせをいただいてから、2024年の現在まで、こんなに長きにわたりご支援することになるとは、お互いに思っていなかったと思います。最初の「RARA」のブランディングとウェブサイトについて、双方納得いくものができたことで、2024年の現在に至るまで継続してご一緒させていただくことができているのだと思います。

<立命館大学 岡本様コメント

2020年秋に学内で「RARA」の立ち上げが決まり、立命館のトップ研究者のアウトリーチを積極的に行っていこうと、仕組みづくりから携わってきました。

ウェブサイトでは自分たちが伝えたいことだけでなく、社会的な要請や期待に対してどう伝えるかが重要です。どうしてもテキストに頼りがちな大学の発信ですが、外部の視点でアドバイスをいただきながら一緒に歩んでくださり、ビジュアルでもわかりやすく伝わりやすい発信を支援していただけるパートナー企業を探していました。

コンタクトフォームから、いくつかの企業にお問い合わせをしました。会話をしていく中でも、私たちがやりたいことを聞くだけでなく、背景情報を押さえて、一人ひとりの研究者と向き合い、理解していただける点、また美しい映像だけでなく、プロフェッショナリズムを持って様々なアウトリーチに伴走してくださるという点で、TYOにお願いしました。

ウェブサイトがアワードを受賞し、アクセス数が増えて「RARA」を知ってもらえる良い機会になりました。学内からも「このウェブサイトはどうやって作ったのか」と問い合わせがあり、大きな反響がありましたね。

──その後のご支援内容を教えてください。

それからは、ウェブサイトに格納していくコンテンツを中心に、先生方の研究内容や今後の展望を伝える施策を提案していきました。立命館大学のトップ研究者の集まりなので、トップランナーの研究者の方がどういうことを考えて、どういう研究に取り組んでいるのか、またこれから何をやっていくのかを学内外に発信していくために、さまざまな手段や内容をご提案しました。

まずは映像のプロとして、RARAの先進的研究者である教授陣「RARAフェローと、RARAフェローへのステップアップに向け実績を積み重ねる研究者を対象にした「RARAアソシエイトフェロー」との対談の映像コンテンツを提案し、制作しました。

RARAフェロー・アソシエイトフェローの対話を収録するビデオシリーズ「Dialogues at RARA Commons」の第一弾
人間拡張とウェルビーイングについての関係を研究するRARAフェローの持丸正明氏と、
音のデザインから人の暮らしを豊かにする研究を手がけるRARAアソシエイトフェローの西浦敬信氏との対話。

学際的な掛け合わせの面白さを「対談」映像で表現。シンポジウムも

最初は先生方のインタビューを動画で撮って発信しましょう、という提案から始まりましたが、先生方の研究を深掘りしているうちに、一人ずつのインタビュー形式ではなく、RARAフェローやアソシエイトフェローの先生方同士の対談の方が面白いのではないかと考えました。異分野の研究者同士の掛け合わせにより、「RARA」が掲げている「学際的」な試みを加速できるのではないか、と。

結果として、先生方自身も違う専門分野の先生と対話するなかで新たな気づきがあったり、観る人にとっても新鮮に受け止めてもらえる映像になりました。

さらに、「RARA」に関してはNewsletterの開設や、東京大学史料編纂所の本郷和人教授を招いた第一回シンポジウムの開催へと、プロジェクトが進んでいきました。

立命館先進研究アカデミー(RARA)第1回シンポジウム「地球危機の時代に、どう挑むべきか──異分野をつなぐ『総合知』を目指して」


<立命館大学 岡本様コメント>

岸本さんに実際にお越しいただき、研究センターを案内して具体的に研究内容を知っていただいた上で、RARAをどう伝えるか、どういうコンテンツを展開していくべきか、打ち合わせを始めました。先生方の研究室にお越しいただき、プレゼンを面白そうに聴いてくださっていて、とても嬉しく思いました。

「RARA」の立ち上げは私たち関係者や研究者にとっては大きなニュースでしたが、社会にとってはあくまで一大学の一つの取り組みでしかありません。「Dialogues at RARA Commons」の制作過程では、岸本さんやスタッフの方々に研究者とのコミュニケーションを密にとっていただいたおかげで、外部から見た着眼点で魅力を引き出してくださり、その後の施策にもつながっていきました。

──「RARA」に続き、立命館大学宇宙地球探査研究センター「ESEC」の立ち上げからのご支援についても教えてください。

「RARA」の発信支援をご一緒していく中で、2023年夏に、宇宙関連の新たな研究センターが立ち上がると伺いました。

立命館大学総合科学技術研究機構の佐伯和人教授以下、学内25名以上の多様な領域を専門とする研究者が、共通のビジョンのもと集う研究センターで、より一般社会に向けた発信をやっていきたいという意向を受けて、設立記者発表やPRも伴走することになりました。

ロゴのデザインや、ウェブサイトの制作のご相談があり、タイトなスケジュールでしたがパートナー企業とともに世界観を構想し、スピード感を重視して、ノーコードのウェブ制作プラットフォームを活用して立ち上げました。

「ESEC」ウェブサイト

「何がニュースなのか」を議論。イベントや野口聡一さんの就任記者会見も支援

2023年7月1日の設置記者会見に向けては、一般社会に向けた発信のポイントとして、他の研究機関と異なる「ESEC」の特徴や社会的意義、何がニュースなのかという点について、立命館大学の担当者や先生方と議論を重ねながら、パートナー企業とともにプレスリリースのワード開発や記者会見の準備を進めていきました。

月や惑星における発見型の探査を第1フェーズ、探査拠点開発を第2フェーズ、将来的な宇宙での都市開発を第3フェーズとすると、「ESEC」は人類の生存圏構築に向けて宇宙開発の現場を切り拓く第2フェーズにフォーカスを当てた研究組織であるという整理をし、そのような研究センターは日本初であるという点を発信しました。

結果として、記者会見にはNHKや在阪キー局、多数の新聞社やウェブメディアが集まり、大きなニュースになりました。

「ESEC」記者会見資料より

設立にあたっては、立命館大学「びわこ・くさつキャンパス」の中にある佐伯先生が率いるESECの研究スペースのクリーンルームの壁の装飾のデザインも行いました。佐伯先生が監修し、日本科学未来館で昨夏に開催された「NEO 月で暮らす展」の運営にも協力しました。

会期中には日本科学未来館で、ESEC初の主催イベントの開催にも協力しました。ESECからは佐伯センター長、小林泰三教授、湊宣明教授と、宇宙ベンチャーの株式会社ispace代表取締役CEO&Founder袴田武史氏が登壇し、産業界、アカデミア、メディア関係者らを中心に約70名が参加し、宇宙開発と宇宙ビジネスの議論が盛り上がりました。イベントの映像収録も行いました。

2023年8月8日に開催したイベントの様子。
テーマは「Beyond Gravity:いまこそ『月面開発』に投資せよ。宇宙研究×宇宙ビジネス最前線」。

さらに、2023年12月に元JAXA(宇宙航空研究開発機構)宇宙飛行士の野口聡一さんが立命館大学の学長特別補佐に就任されるということになり、記者会見の運営やPRもご支援しました。

野口聡一学長特別補佐の就任記者発表の様子

ESECのビジョンやミッション、その意義や社会的価値を広く伝える「ステートメントムービー」を制作し、野口さんの就任記者会見で流しました。

「RARA」と「ESEC」ともに、新聞広告の制作もお手伝いしました。

さらに2024年4月に東京ビッグサイトで開催される「SPEXA -Space Business Expo-」でのESECのブースのデザインや運営、セッションの企画も支援しています。

──映像だけでなく、とても広範な領域にわたる支援を行ってきたのですね。

制作物やアウトプットは非常に多岐にわたりますね。2023年の1年間だけでも「RARA」と「ESEC」合わせて大小40のプロジェクトをご支援させていただきました。ひとつのクライアントとこれだけ長く、多岐に及ぶアウトプットをご一緒させていただくケースは珍しいですね。

目的に応じた、あらゆる発信施策をプロデュース

私たちは映像のプロダクションとして長く仕事をしてきましたが、表現として映像制作に限定しているわけではありません。目的のためにはいろんな手段がありますし、最適解が必ずしも映像ではないこともあります。

Thirdはプロデューサーの集団ですので、コンテンツをプロデュースするということにかけては、あらゆる表現を守備範囲としています。

具体的な施策やアウトプットが決まっている場合もありますが、「こういう効果を目指したい」といった漠としたご要望をいただく場合もあります。一つひとつの目的を明確化したうえでそれに応じた施策を提案し、それぞれの施策や表現に合致した最適なパートナーをアサインし、一貫して一緒に手がけていくところに私たちの強みがあります。

プロデュースの手法として、目的に応じて、今まで組み合わせてこなかったようなこと同士を組み合わせることで、受け手に新しいことを届けることができるパターンがあると思います。

先行きが見えない、不確実な時代と言われますが、様々な専門をもった研究者の方々を学際的に横につないでプロデュースし、これまでになかった知見や気づきを届けていくというのは、社会的にもとても意義深い取り組みだと感じています。

──ご支援にあたり、心がけていることはありますか。


私自身、とても楽しく、ワクワクしながらご支援させていただいています。好奇心の赴くまま、先生方の研究を学んでいます。

全ての論文に目を通しているというわけではありませんが、やはり研究のことを知らないとお話いただけないと思っていますので、最低限の知識を持って先生方と向き合うようにしています。関連ニュースは適宜ネットをチェックしつつ、「Gooleアラート」などを使って、最新情報を押さえるようにしています。

常に心がけてることといえば、英語の定型表現で「Put yourself in someone’s shoes」(自分で誰かの靴を履いてみること)という言い回しがあります。簡単に言えば、相手の立場でものを考えるということです。

映像の撮影で「スタンドイン」といいますが、カメラの前に立っている役者さんの状況を理解し、どのような風景が見えているのかを私たち作り手側が理解しないと、演出はうまくいきません。研究者の先生方の立場に立って、普段の研究や活動をある程度は知っておかないといけないといいお話は引き出せないし、いいアウトプットはできないと思っています。

世の中の人の関心や感覚を常に追いかける

また、立命館大学のプロジェクトに限らず、あらゆるコミュニケーションの案件に携わる上で当然のことですが、コミュニケートする対象、つまり世の中の人がいま何に関心があるか、何を考えていて、何が欲しいと思っていて、何に不安や希望があるか、といったことを常日頃考えて追いかけるようにしています。私に限らず、TYOのメンバーは全員心がけていると思います。

かつて、テレビCMが世の中で一番新しいことを一番最初に発信するメディアだった時代がありました。いまはCMだけではなく、SNSや動画プラットフォームなど、多様なサービス上で日々新しいトレンドやフォーマットが生まれていますが、私自身、CMを手がけてきた人間として、いま世の中の人たちがどのような気持ちや感覚を持っているのかを常にキャッチアップしていくことは変わりません。


立命館大学 岡本様コメント

総じてTYOの皆さんに共通しているのは、私たちのフィロソフィーやビジョンに共感していただいていることです。

一人ひとりの研究者と研究内容に関心を寄せてくださり、丁寧にコミュニケーションしていただいているのがありがたく、私たちとの理解や温度感のズレがない点を信頼しています。表面的なテクニックや見栄えだけではなく、本当に大学のビジョンや背景を理解して、先生方の研究活動にご興味を持っていただいたことが結果的にウェブサイトやコンテンツに表れていると感じています。

様々なプロフェッショナルやパートナー企業さんとのネットワークも頼もしく、「RARA」や「ESEC」の文脈を生かして多様な表現を実現してくださっています。

これまではデジタルやウェブのコンテンツが比較的多かったですが、今後はより大学の環境を生かして、さらなるリアルのコミュニケーションや、ファン作りの仕掛けとしてどんなことを一緒にできるか考えていきたいです。

──今後の展望を教えてください。

今後もあらゆるトレンドや表現を採り入れ、多様なパートナー企業の皆さんと連携しながら、クライアントのみなさまのあらゆる思いを「伝わる」コンテンツとして実現していきたいです。

小さなプロジェクトから始まって、様々な反響を受けて徐々に拡大していく案件もありますので、まだ予算も決まっていなくても、ブレスト段階からご相談いただいても構いません。どんなコンセプトにするか、何をどういう手段で伝えるかという早い段階からご一緒させていただけたら、より本質的なご支援ができると思います。

岸本高由プロフィールページ

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