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2024.02.22

Case

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TYOの共創プロデュースチーム「Third」が手がける、世界遺産・京都最古の「賀茂別雷神社(上賀茂神社)」ブランディングプロジェクト

「あの人も、お参りした神様。」「恋するあなたの力強い味方です」。TYO内の共創プロデュースチーム「Third」は京都市北区にある京都最古の神社「賀茂別雷神社(かもわけいかづちじんじゃ、通称:上賀茂神社)」の歴史や魅力を伝える映像制作を担っている。

国宝2棟、重要文化財41棟を含む境内全域が世界文化遺産に認定。上賀茂神社とのプロジェクトは、TYOコーポレートサイトへの1件の問い合わせから始まった。

映像制作の要望を受け、Thirdから包括的なプロモーション施策を提案。信頼関係を築き、魅力創出や長期的なブランドづくり、インバウンドも含めた参拝客誘致の施策に取り組む。

由緒ある神社との継続的なブランディングプロジェクトはいかに進んでいるのか──。Third エグゼクティブプロデューサーの石松剛とプロジェクトマネジャーの佐野裕哉に話を聞いた。


プロジェクト概要

賀茂別雷神社

Year 2023〜
Brand/Unit Third


TYO’s Staff

Producer: 石松 剛
Project Manager: 佐野 裕哉
Project Assistant: 小林 凜


STAFF

Copy Writer: 樋口 晃平
Director: 大澤 健太郎
Cinematographer: 伊藤 仁
1st Camera Assistant: 殿村 亮
Casting: 川西クリス達也
Offline Editor: 戸野部 美奈
Music: 森 凡子
Special Thanks: 宮本 佳史, 岩川 浩也, 首藤 英夫, 中村 豪


プロフィール

Producer: 石松 剛

Project Manager: 佐野 裕哉  
大学卒業後、TYO入社。2020年よりThird所属。
人と人との繋がりを大切に日々励んでいます。


──プロジェクトが始まった経緯を教えてください。

石松 最初のオーダーは、神社のホームページに格納するための、年間神事の映像制作でした。ご要望を伺いながら、我々としては、ホームページ掲載用の単発の動画制作以上に、もっと本質的な支援ができるのではと考えていました。

ホームページ掲載用の動画は理解促進を目的とした「Hub動画」と言われます。元々はGoogleが提唱したと言われる、動画マーケティングの代表的な「HHH(スリーエイチ)戦略」の一つです。Hub動画の役割は、興味を持った人がホームページを閲覧し、動画を見ることでより「行きたい」という気持ちが醸成されるような動画です。ただ、動画をホームページに置いておくだけでは、制作してホームページに格納してもあまり広まらず、そのままになってしまうことも少なくありません。

※「HHH戦略」について (Think with Googleホームページより)
https://www.thinkwithgoogle.com/marketing-strategies/video/youtube-insights-stats-data-trends-vol8/

普段から「文脈を伝えること」や、「どうやって多くの方に見ていただくか」を考えながら映像を制作していることもあり、中長期的な魅力創出のための施策から、広く届けられる映像施策をご提案しました。


上賀茂神社の魅力をもっと広く伝えたい

京都最古の神社とされている上賀茂神社と「下鴨神社」はどちらも「賀茂一族」の氏神が祀られていて、世界遺産になっています。下鴨神社は比較的若者に人気が高く、観光客も多いのですが、上賀茂神社の魅力はまだまだ伝えきれていない。私たちは上賀茂神社の魅力をもっと広く伝え、認知自体を上げていくべきではと考えました。

予算内で「Hero動画」(前述のHHH戦略のうちの一つ、潜在顧客に対し、企業の知名度を一気に高めることを目的とした動画)も作ってみませんか、と働きかけ、制作後の動画の活用法についてもアドバイスするようになりました。

結果的に、継続的なブランディングと年間を通した動画制作を担っています。単発の動画制作だと、長くても半年ぐらいのスパンで制作しますが、 今回は数年にわたる長期のプロジェクトになりました。

──きっかけはコーポレートサイトへの問い合わせだそうですね。

石松 ネットで映像制作会社を検索する時代なので、コーポレートサイトへのお問い合わせは増えていますね。上賀茂神社の担当の方からも、一昨年から色々とお問い合わせをいただいていました。

上賀茂神社の担当者は若い方で、マーケティングにご関心があり、弊社の他の事例を調べて「こういう風な動画にしたい」と考えた上でお問い合わせをいただきました。最初にコンペを経て選んでいただきました。「アイデアが良く、コストパフォーマンスが高い」との評価でした。

佐野 先方からは、石松の言葉が印象深かったと伺いました。「かっこいい映像は誰にでも作れます。でも、ちゃんと人に届く映像は私たちじゃないと作れない」という言葉です。

クライアントとともに創り上げる「伴走型」の魅力

──どのようなプロセスで企画を進めたのですか。

石松 まずは上賀茂神社に足を運び、書籍を読むところから始めました。私たち自身が素人であり、ターゲットだと考えて、自分たちが引っかかったことや、心が動いたこと、魅力だと感じたことを企画としてまとめ上げていきました。神社の方から見れば当たり前のことでも、「一般的な参拝客目線から見た驚きや魅力を世の中に伝えていくことで、インパクトを出していきましょう」とお伝えしました。

大きく二つのテーマにフォーカスして制作しました。一つは神社の「ご利益」にフォーカスしたもの。もう一つは、上賀茂神社の特徴として、本殿と紐づいた多くの小さな社殿があるところです。本殿の主な神様とゆかりのある神様を祀る「摂社(せっしゃ)」と、以前から土地で祀られていた神様を祀る小規模の社殿「末社(まっしゃ)」が多数存在します。

(制作中の映像より)

今回、私たちThirdはクライアントと緻密にコミュニケーションを取って一緒に企画をブラッシュアップしていく「伴走型」でプロジェクトを進めています。

しっかり固めた企画を提案する「提案型」の案件が多いですが、本件はある程度簡易的に作った企画や映像をクライアントに見ていただいて、ご意見を聞きながら反映していく形で、打ち合わせを通じてすり合わせていく形で進めています。

時につまずくこともありますが、私たちの伴走型の姿勢や熱意を評価していただき、「来年、再来年くらいまで一緒にやっていきましょう」とお話をいただいて、既に来年の施策に向けて企画を練っています。

──「映像を作ってください」「はい。提案します」というよりは「一緒に作っていきましょう」というスタイルが、これからは一般的になっていくのかもしれませんね。

石松 近年、映像についてのリテラシーが上がってきています。「全部お任せ」ではなく、クライアント側に「こういうことをやりたい」ということがある場合に、私たちが選ばれることが多いのではないかと思います。

丁寧なコミュニケーションを通じてクライアントが内心で「やってみたい」と思っていることを引き出して、やりたいことにより近いものを、愛をもって一緒に作っていきます。私たちの伴走型のスタイルは、別のクライアントにもお褒めいただきました。


神社や地域との信頼関係を構築

──上賀茂神社の映像制作で印象に残っていることを教えてください。

佐野 神社に何度も足を運び、普段はなかなか見られない神事を継続的に撮影させていただいている中で、上賀茂神社の宮司さんや巫女さんなど、神社の色々な方と関わることができていることです。みなさんからも知った顔だと認識していただき、挨拶や会話を交わしています。神社のみなさんや地元の方々と一緒に制作できているように感じています。

石松 撮影の際は、私たちがあまりにたくさんの機材を持っていくので、いつも驚かれていますね。何度も同じテイクを撮影するときも、根気よく付き合ってくださるのは非常にありがたいです。

佐野 そこはとても恵まれていますね。クライアントが私たちのことを理解していただいて、真の伴走支援ができていると感じています。

石松 長期のプロジェクトで、何度も訪問して相互理解を重ね、クライアントとの深い信頼関係を築くことで、私たちもより良いパフォーマンスを出すことができていると思います。

撮影を重ねてきた映像は、2024年春ごろの公開を目指しています。上賀茂神社は「紫式部がお参りした神社」という歴史もあります。紫式部が主人公のNHK大河ドラマ「光る君へ」の視聴者にも映像をお届けし、お越しいただけるようにしたいですね。


動画を作った、その「先」を考える

──恋愛成就祈願に訪れた女性の顔に「叶わない恋、もう飽きた」と書いてあるシーンから始まる動画が印象的です。

佐野 Hero動画は最初のシーンで興味を引かないと後半をご覧いただけないものなので、「あれ、何だろう?」と思っていただけるようなギミックを最初に入れました。

石松 企画がだいぶ進行してから、コピーライターの意向で途中から変えて作りました。最初の2秒ぐらいでつまらないと感じたら、すぐに飛ばされてしまいます。「これだとフック(引き)が足りない」というフィードバックを受けて、より引きを意識して挿入した表現ですね。


──提案や企画で心がけていることはありますか。

石松 観光を目的とした案件は、私たちにとっては新しい挑戦でした。見ている人が入り込めるような映像にするため、綺麗な風景が映っているだけではなく、そこに観光している人物を登場させています。すると、見ている人が自分ごと化できたり、自分を投影しやすくなります。

また、ただ撮影するだけではなく、日々、人がどういうことを行っているかを大事に撮ってきました。そこに神社が積み上げてきた歴史や由緒が表れるからです。だから、宮司さんや巫女さんにたくさん手伝ってもらっているんです。

佐野 神社の皆さんの日々の業務は、ご本人は何も特別だと思っていないのですが、私たちのような一般の人からすると目新しく、興味深いものです。監督と一緒にお願いして、特別に撮影させてもらっていますね。

──映像以外の支援についても教えてください。

石松 私たちは総合的なブランディング・プロモーションのプロデューサーとして、映像の枠を超えて、かなり自由に企画を考えています。「上賀茂神社の新しい名物を作ろう」と、新商品開発なども検討しています。

佐野 例えば上賀茂神社のアクセスは、直線距離でも京都駅から8キロ以上あるんです。京都駅からの道中に文脈を見出して、どうしたら神社までの道のりを参拝客に楽しんでもらえるかといったアイデアも出しています。


本当にクライアントのためになるのか」問い続け、結果で示す

──Thirdの強みや、独自の価値は何だと思いますか。

石松 先ほども申しましたが、一つは伴走型であること。あまりに大規模な提案は難しいですが、クライアントの困っているところに丁寧に寄り添い、細かな課題を察知しながら、一つひとつ改善策や解決策を提示したり、伸びしろを見つけて適切に伸ばしたりできる存在だと思います。

もう一つは、個人的なこだわりとして、私たちは単に自分たちが表現したい作品を作るチームではありません。クライアントの想いや伝えたいメッセージ、うまく伝えきれていないことを、一番伝わる形に表現するチームです。自己表現やアートを手がけているわけではなく、クライアントが困っていることに対する解決策として、動画を軸とした多様なクリエイティブを手がけるクリエイター集団であり、プロデューサーという意識で携わっています。

佐野 石松がよく言っている「これって本当に上賀茂神社にとって良い表現なのか?」という言葉に、石松の顧客視点が表れています。

「スタッフからこういうアイデアが出ている」と話した時に、石松がよく言うのが、「確かに絵として良いのはわかるんだけど、上賀茂神社のためになるのかな」と。アート的にビジュアルは良いのですが、本当に上賀茂神社にとって良い表現なのかどうかを常に考えている。スタッフも上賀茂神社への思いが高まり、成長しています。

石松 クライアントにとって動画をいかに使い、どう見られていって、どう結果を出していくかを含めた企画やプロデュースができるところが私たちの強みだと思います。

佐野 私たちが手がけているのは、映像を通じてクライアントを良い方向に導くということ。なかなか言葉にできないクライアントの情緒的な価値が顧客や消費者に真に「伝わる」表現になっていて、結果として参拝客が増えたり話題になったり、神社の方々がより生き生きと働けるようになるといった結果をしっかり出していきたい。そしてこれからのお客様にも、「私たちが手がけると、こういうクオリティを出せます」という結果を示していくつもりです。


──Thirdとして挑戦してみたいことはありますか。

石松 映像だけにとどまらず、他のアウトプットやブランディング・PRも含めた全体をプロジェクトとして捉えてプロデュースする力を磨き込み、さらなる案件に生かしていきたいです。一方で、映像をはじめとしたアウトプットについて、高いクオリティは常に担保し続ける。そこの両立ができれば、自ずと結果につながっていくと思います。


TYO Thirdでは、企業様や団体様からの協業のお問い合わせをお待ちしております。企画やブレストの段階からでも、お気軽にご相談ください。こちらのフォームからどうぞ。

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